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■ホテリエになるために

〜ホテルマンではなく、ホテリエになるために

近藤 寛和(こんどう ひろかず)

(株)オータパブリケイションズ ホテリエ事業部部長
1967年生まれ。埼玉県出身。法政大学経営学部卒業後、(株)オータパブリケイションズに入社。販売部、企画・マーケティング室、「週刊ホテルレストラン」編集部を経て、ホスピタリティ業界人を応援する「ホテリエ事業部」を発足。ホテル業界人の勉強会「宿屋塾」の主宰、多数の書籍・雑誌を編集、業界人サポートサイト「ホテル屋ドットコム」運営などを通し、多角的にホテル業界人や志望学生を応援している。

ホテル業界も、ここ10年で大きく様変わりしてきました。年功序列、終身雇用という日本型から、成果主義、能力主義といった実力社会になりつつあることが大きな変化ですが、その波に乗って、能力の高い人はいいポジションに上がり、給料も上がっています。その逆に、言われたことだけをこなすだけの人は低賃金のままです。前者は30歳前でも年俸600万円という厚遇の人が多く出てきており、後者は400万円ほどに留まるのが一般的です。つまり30歳で200万円もの差が出てくる時代なのです。

私のまわりにいるそうした30歳600万円人材を見ていると、ある共通点に気が付きます。それは、彼らの多くに海外経験があるということです。外資系ホテルに勤め、英語をフリークエントに使い、ヘッドオフィスから送られてくる外国人スタッフに混じって会議で堂々と発言をする、ホテルマネジメントのグローバルスタンダードの知識を生かしてホテルに変革の風を送り込んでいる……。そうやって活躍している人には、海外経験があることが多いのです。

みなさん、ホテルマンとホテリエの違いを、ご存知ですか?ホテリエとはホテル経営に携わるプロフェッショナルを指し、総支配人や幹部のことです。ホテルマンとはサービススタッフです。インターナショナル・ホテル運営会社のホテリエになると、世界に散らばるグループホテルに、幹部として赴任することになり、当然お給料も1000万円を超えます。

30歳600万円人材の次のキャリアは、こうした世界をまたにかけた「ホテリエ」という仕事なのです。わが国には、残念ながらこうしたホテリエが非常に少ないのが現状です。このサイトに遊びに来てくれた人には、ぜひともそうしたキャリアアップを目指していただきたいのです。

ホテリエにとって欠かせない4要素

ホテリエにとって必要なことを4つ挙げるとすると次のようになります。

(1)ホテルビジネスを理論的にとらえられること

ホテルにはどういう収益源があって、サービスを提供することによってどのくらいコストがかかり、どう利益を上げているのか。そしてホテルにはどんな社会的役割があるのか。つまり、体系的にホテルマネジメントを理解しているかどうかということです。「自分はマネジメントではなく、サービスを極めたい」という方もいらっしゃるかと思い ますが、そうした方でも、自分が属している仕事、自分がやった仕事がどうビジネスにつながっていくかということを俯瞰して捉えておくことは、大事なことだと思います。

(2)英会話力

最低限サービスで使える英会話力は当然ながら、ビジネス会話も必須です。ホテルビジネスは、いうまでもなくグローバルビジネスです。外資系ホテル企業の会議は英語が標準語になっています。

(3)資格

意外に思われるかもしれませんが、欧米社会では学歴が大きくモノを言います。どこの学校でどういう勉強を修了したかという「ディプロマ」のあるなしが就職を左右しますし、その後のキャリアアップも変わってきます。

(4)海外のホテルで働いた経験

ホテルというビジネスは、世界中のホテルと競争しています。よって、海外のスタンダードを把握しておかなければならないのです。また、海外の人と触れ、世界の価値観を知ることも大事です。そうすると日本人であることのアイデンティティ(同一性)に気がつくのですが、グローバル社会での日本人ホテリエの役割を知ることは大切なことです。

ホテル留学を進める理由

そこでお勧めしたいのが、海外のホテル学校に留学することです。日本でホテルが業界として発達したのは東京オリンピックの時であり、わずか40年前のことです。米国では約90年前、ホテルオーナーが複数のホテルを所有するようになって「ホテルマネジメント」という概念が生まれました。観光産業が重要な国益収入源となっているスイスをはじめとする欧州では、もっと前からホテルというビジネスは発達していました。よって、欧米諸国は、ホテルマネジメントの理論や教育は日本よりはるかに発展しているのです。
わが国のホテル業界を作り上げてきた先輩ホテリエたちも、その多くが海外の学校で学び、その知識や経験を日本に持ち帰って活躍し、日本のホテル業界の発展に大きく貢献しています。海外のホテルスクールで理論を学び、学校がプログラムを組んでくれるインターンシップ制度でホテルの現場を経験し、ディプロマを取得し、なおかつ海外で生活することによって世界の多様な価値観を知る。ホテリエに欠かせない4要素をいっぺんに取得できるのが「ホテル留学」なのです。